3.木造今昔物語
すべて天然素材を使用した木造でも、シックハウス病から解放されるものではないことが前述の内容でご理解願えたと思います。
ほとんどのハウスメーカーや工務店はこの間違いに気づくことなく「オール檜造」「オール天然材造」を健康住宅として宣伝しております。
百歩譲って「天然材」使用の家は比較的健康的であるとしても、彼らの言う「木造」とは一体いつの時代の木造をイメージしているのでしょうか。
1945年以前の木造建築を指すのか、或いは、はるか遠く1300年前の奈良時代の法隆寺の木造建築物を指すのか、この点をしっかり把握し、理解しておかなければ「木造」を語ることはできません。
即ち、現代の木造建築物はたとえすべてが天然素材を使用したものとしても「木造」にして「木造に非ず」の状況だということです。
では、どこが違うのか考察してみます。まず、1945年以前の天然素材は太い木を十二分に天日乾燥し柱には心びき材を使用したものでした。
西岡常一は「法隆寺を支えた木」という本の中で次のように述べております。
塔組みは、木組み
木組みは、木のくせ組み
木のくせ組みは、人組み
人組みは、人の心組み
人の心組みは、棟梁の工人への思いやり
工人の非を責めず、己の不徳と思え
又、木を買わず、山を買え ということも述べております。
山の南面に生えた木は建築物の南側に、北面は北側に、東面は東側に、西面は西側に配置するという現代では考えられない素材の選び方をしていたわけです。
又、主要な部分はほとんどヒノキ材で、しかもすべて樹齢が1千年以上のものが使われています。そのヒノキが1300年も生きているのです。
又、こうも述べております。木を殺す凶器の一つは鉄である。
法隆寺で飛鳥工人は最小限ですが釘を使いました。しかし、その鉄は鍛造に鍛造を重ねたものですから、薄い層が何枚となく重なりあっています。たとえ表面がサビても一皮めくればサビに侵されません。
だからこそ1300年経った今も釘の役目を果たすものが残っているのです。
そして又、伐り出してからの乾燥期間は3年〜10年間ねかせております。驚くべき、そして世界に誇りうる木造文化です。
しからば振り返ると、現代の木材は「木(キ)」ではなく「擬(ギ)」です。
最も大切な木の乾燥についてはほとんど皆無です。伐採してすぐ市場へ出荷するの通例であり、従って反ったり、腐るわけです。
すべてが乾燥のゆきとどいた天然素材の家づくりはもはや昔むかしの物語です。いわんや輸入材に至っては、どのような薬剤が注入されているのかわからないのが現状です。
昔の木造住宅と現代の木造住宅を比較してみます。
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昔の木造住宅
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現在の木造住宅
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基礎
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置き基礎(つか石) |
連続基礎(布基礎、ベタ基礎) |
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開口部
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木材 |
金属(アルミ)或いは
樹脂(塩ビ)サッシ |
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断熱材
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無し |
有り |
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庇(軒天井)
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軒先が長く、外壁に雨水がかかりにくい |
土地が狭いため、無いか、有っても軒先が短く、外壁に雨水がかかりやすい |
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外壁仕上げ
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木の羽目板・漆喰などで塗装仕上げをしない |
塗装・塗り材などで、化粧仕上げをする |
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その結果
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壁が呼吸しやすく壁体内の湿気や雨水の排出が容易(壁体内乾燥) |
気密化が進み、壁が呼吸しにくいため、壁体内の湿気や雨水の排出が不十分(壁体内に水分が滞留) |
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壁の品質への影響
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・木材腐朽菌発生しにくい
・壁体内に結露しにくい
・外壁が凍害受けない
・しろあり(蟻害)小 |
・木材腐朽菌増殖しやすい
・壁体内に結露しやすい
・外壁の凍害が起こりやすい
・しろあり(蟻害)増加 |
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